瓶の底で塩が固まっていた。
長いこと入れっぱなしで使い具合も不精だったからか、下の方が石のような塊になっていた。
おにぎりを作る時に水で濡れた手を突っ込んだせいかもしれない。
塩少々を取るのにも難儀する。
瓶を左右にシェイク。
ケーキ作りの時に小麦粉をふるいにかけるような手際。
ガラスの壁面に激突して塩の塊が摩耗する。
30秒くらいで感触がずいぶんほぐれる。
ふたを開けてみるとなんともキラキラした塩の表層。
どこか雪原に似る。
触ってみるとさっきまでの硬質さはどこへやら、綿のようにふわりと塩の粒が流れるのでした。
生活の陰にある気付かない美しさ。
当たり前すぎるものはその当たり前さゆえに知られがたいとかそういうお話。
北国の雪はさらりとして乾いていると聞きます。
私の知る雪はべたべたとして水っぽい、汚い。
塩を詰めた瓶にふと冬を思う季節。
○本題
それはともかくスパゲッティがうまい。
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