電車内でのみ読み進められる縛り(意味不明)でようやっと読了。
不勉強にしてゲーデルという学者のことを少しも知らずにいた昨年末まで。
古本屋でこの本を手に取ったのはある意味偶然ともいえるでしょう。
単に『哲学』と名のついた安価な新書だったからということもあるやもしれません。
しかし内容は実に親切というか丁寧というか。
細かいところまで、ゆっくりと教えてくれる感じでした。
私個人の興味領域と大いにかぶるところもあり、そこまで難しいという印象も無く読めた感があります。
数理哲学というのでしょうか、論理的な思考というか、そういうところの極致でしょう。
ヴィトゲンシュタインでレポートを書き、パラドックスでレポートを書いたばかりだったので私にはちょうどよかったです。
頭の体操だけとして第1章のみ読んでも楽しめるというのが素敵な構成。
後半も、無理に理解せずとも哲学史的な史実の追いかけができるので勉強になりました。
ゲーデルの周囲を取り巻く人々の事情や言葉も多く取り上げられているのもまたよい。
最たる人物ともなるとアインシュタインなんか出てきますからねえ。
クルト・ゲーデルの名前を知らなくとも、論理的に考えることが好きな人なら入っていきやすいのではないでしょうか。
パラドックスを使って解説されている部分はパズル的な楽しみ方もでき、入門にあたってのハードルはかなり低まっているように感じられました。
自分のような不勉強者にもゲーデルという人のおもしろさが伝わる、ということを思うとかなりの名著ではないかと思います。
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