テストも一段落ついたのでいまのうちにまとめておこうかと。
2011年とはいえ、ほとんどの本は年明けに読んだのですけれども。
・谷沢永一 『嫉妬する人、される人』
「嫉妬」のなんたるかを日本史のエピソードに重ねて解説している本。
昔の日本のほうが身分制度のぶんだけ嫉妬の動きも強かったのだといわれるとなんとなく納得できた気がします。
短いエピソードが多く用意されており、なるほどな、と思わせる言葉が並んでいますが、若干印象が薄かったのはその形式の都合上仕方が無いかな、といいますか。後書きの浴衣がけの夕涼みという例えはいい具合なのかもしれません。
年末に読み終え、そのまま後輩に貸したらやたら喜ばれた本。
・ヘルマン・ヘッセ 『車輪の下』
読了が元旦だったというだけで、実際はかなり以前から読んでいました。少し読んではやめ、を繰り返していたのですが帰省する新幹線から大晦日と元旦で残り半分ほどを読み切り。
まさしく没落を描いたという感じで、最後の終わり方にはあっけなささえ感じられた。決してドラマチックではないですがそれだけに残酷で、実際こんなことはあったのだろうなと思って冷静に考えてみるとヘッセの自伝小説だったりして。
タイトルの意味を途中まで測りかねていて、読み終えてみるとぞっとするようなところはありました。
いわゆる古典、いわゆる名作を読むのは久々というか、特に海外の名作には本当に疎かったので、とりあえずようやくの第一歩というところでしょうか。
春休み中に原文で読みたいかなあとも思ったりした。
・小川仁志 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」辞典』
いい加減『超訳』って言葉やめませんか。
すっきりわかるはわかるのですが、この本を読んですっきりしたという事実がすっきりしない。
実際入門書的なものとしてはよかったのかもしれませんが、中途半端に専門書ぶっているだけに安易な言葉が引っ掛かる。ニヒリズムの項にショーペンハウアーが載っていなかったのもどうなんだろうと思う。
この本を読んで初めて知った言葉もありましたが(レッセフェールとかシミュラークルとか)、むしろこの本を読むまで知らなかったことが恥なんじゃないかというレベル。
読み応えはぼちぼちでしたが意外に時間を食った印象。それでも遅読な私にしては早く読めたのだと思います。
例文の違和感には目を瞑ることにした。哲学用語を日常使いできるわけがあるかい。
・渋谷昌三 『100文字でわかる心理学』
総文字数が100文字なわけではもちろんないです。さまざまな項目があり、見開き右側でそれぞれの説明が100文字で要約され、左側でその解説というか補足がされている、というスタイル。ベスト新書にいくつかあるシリーズ。要するには上記の「辞典」と大差ない感じ。
こちらはそれこそ私も入門者のようなものなのでそれなりにふむふむと分かった気になるものでしたが、まあ分かった気になっているだけなのだろうなあという自覚は拭いがたい。ユングとフロイトの夢の解釈の違いを答えろ(心理学科の1年生演習の問題)とかいわれても結局わからないしなあ。
著者の人は哲学界における竹田青嗣さんや小川仁志さん永井均さんのような「入門書」を多く書かれている方らしく、のちに(というか現在)心理学の本の著者名で幾度となく見かけることになるのでした。
出身大学がうちの心理学科だった。
・円城塔 『これはペンです』
いつぞや、何か嫌なことがあったときに目に留まって衝動買いした本。
三箇日ですっかり寝正月が身に付いた体でこの本を一日で読もうと思ったら死ぬかと思った。読み切ったときの達成感たるや。
ちょうど自分が考えていた問題(「言葉」と「意志」は直結するか、「意志」が「言葉」でできているのかどうかとか)がもろに扱われていてしてやられたなあといったところ。やっぱこの人好きやわ。
普段よりメタ的というか言葉遊び的な人を食った感じはせず、バックグラウンドの思考のほうに全力を傾けてある印象。「オブ・ザ・ベースボール」もそうでしたが芥川賞候補の共通項かなんかなんでしょうか。というかこの作品もよく候補までいったものですよ。
とりあえず「良い夜を持っている」のお母さんが超かわいかったことは覚えてます。
早く「道化師の蝶」を読みたくて仕方が無い今日この頃。
芥川賞受賞おめでとうございますと言っていいのは作品を実際に読んでからなのだと思う。
・竹田青嗣 『中学生からの哲学「超」入門』
「超」か……まあいいか。
秋に読んだ本(『自分を知るための哲学入門』)と前半はだいたい一緒だった気がする。大富豪を出してきた後半はなかなかおもしろかったでした。普段からはあまり社会哲学に興味が無いもので。
同じような本を読んでいくと結局読むのが早くなるのは自明なのだなあといいますか、つまりやたら早く読めた。リフレックスショットというのかなんというのか。
とりあえず大学生2年目も終わろうとしているのに今更読むのどうなんだよと自責しつつ読んだ。
・神林長平 『敵は海賊・海賊版』
夏の『言壺』ショックからはや半年。地元のブックオフでこれを100円コーナーで見つけたときには我が目を疑った。
思えば神林長平という作家自体が、円城塔のデビュー時に評価の言葉を出していたりするような人物で、もとより私との相性はよいのだろうなと思い始めている最近です。
内容は今でいうライトノベルの前身というのか、そういうSFって昔多かったものと勝手に思い込んでいますが、『カウボーイビバップ』みたいなもんなんだろうか、どこか大人っぽいしかしポップな感じ。
実際このシリーズはアニメ化しているようですし、イラストの補助はあっても悪くなかったというところに文句はないはず。
それでも昨今のいわゆるライトノベルと一線を画しているのは、スペースオペラと銘打たれた作り込みのスケールと、媚びの無さ、作者が好き放題やっている具合、そして『caw』からも見て取れるバックの練り込み、思考度合いなのだと思います。
ギャグというか掛け合いの妙が小気味よく、地の文での説明はだいぶすっ飛ばしてどこか舞城王太郎じみた加速さえしてみせる、テンポの良さはさすがといったところ。
創作専門用語がもう少し理解できると楽しかったのかなあ、とは思った。『狐と踊れ』を読むべきなのでしょうな。
その他
・吉沢伝三郎訳 『ツァラトゥストラ 上』
・竹山道雄訳 『ツァラトストラかく語りき 上巻』
・Friedrich Willhelm Nietzsche 『Also sprach Zarathustra』
読書会で使用。日本語訳は前者がちくま学芸文庫、後者が新潮文庫。独語原文は大学の閲覧室にあったニーチェ著作集をコピー。
といってもまだ『三態の変化』しか読んでないのですけどね。
以上でした。途中まで読んである本が現在大量にあるのでまずはそれらを消化して一気に足取りよく積読の攻略といきたいところ。
選書の適当加減は仕方が無いものだと思うことにしました(遠い目)
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